ダイキン工業㈱は、2024年6月に取締役会長を退いた井上礼之氏に対して「特別功績金」として43億円を支払っている。井上氏は、1994年の社長就任時3千億円だったダイキン工業の売り上げを4兆円超に育て上げている。その退職に伴い43億円の退職功労金が支払われたのである。井上氏の多大な功績から考えれば決して高額とは言えないだろう。
オーナー企業の社長が自身の会社から退職金をいくらもらうかは、社長自身が決めれることであり、外部から注文をつけることはできないだろう。
ところが、現実を見ると、中小企業の社長が受け取る退職金は、国税から否認されやすい項目となっている。
役員退職金を巡る税法上の規定は法人税法34条、法人税法施工令70条に置かているが、そこには「業務に従事した期間、そのその退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える部分の金額は、損金の額に算入しないとしか書かれていない。
つまり、具体的に何円までが妥当で何円以上は過大であるかは、条文では判断できないのだ。
それで多くの場合、退職慰労金=最終の役員報酬月額×役員勤務年数×功績倍率という計算式によって退職金額を算出することになる。
ただし、この計算式に当てはめるとしても、国税との見解の相違はあるわけで、最終的には、その役員退職金は、社会通念上妥当かどうかの判断になるだろう。
この本の著者、グレッグ・マキューンは、シリコンバレーのコンサルティング会社のCEOである。エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップのあり方を広めるべく世界中で講演活動及び執筆活動を行っている。本書は、アメリカでベストセラーとなった本である。また、日本でも10年以上読み継がれているロングセラーである。
エッセンシャル思考とは、大事なことを見極め、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最高のパフォーマンスを発揮するための思考及びその技術と言えるだろう。
非エッセンシャル思考の人は、どれも大事だと考え、やることをでたらめに増やすが、エッセンシャル思考の人は、より少なく、より良くやる事を考える。また大事なことは少なく、何を捨てるべきかを考える。その結果、ほんとに重要なことに集中し、大事なこと以外は断るのである。
エッセンシャル思考を身に着けるには、「本当に重要なことを見極める」「重要なこと以外は容赦なく切り捨てる」「仕組化して実行する」のステップを踏んで考え実行する。
また、著者は、本当に重要なことを見極めるためには、「じっくり考える余裕」「情報収集」「遊び心」「十分な睡眠」「選択の基準」が大切である、と言う。
考えてみれば、やらなくてよいこと、というのは案外あるもので、大事なこと以外は断るなどして、ほんとに重要なことに集中することで質の高い成果が得られるのではないだろうか。
日常の仕事を見直す上で、気づきを与えてくれる本である。
令和年度より所得税の課税ラインが変わります。その変更点を確認しましょう。
昨年より話題になっている103万円の壁ですが、この103万円の壁という数字は、基礎控除額48万円と給与所得控除(給与所得者のいわば概算経費保障額)55万円を合計した金額です。令和6年までは、この合計額103万円以下であれば所得税は課税されなかったため「103万円」が「壁」として表現されていたわけです。
令和7年度税制改正により一定の要件のもとに、令和7年分の所得税から、最大で基礎控除額が95万円に、また給与所得控除の最低保証額が65万円に引き上げられ、所得税の課税最低限が「160万円」となりました。
ただし、今回の改正は、多少複雑で、所得税の課税最低限が「160万円」となるのは、合計所得金額が132万円以下(給与収入でいえば200万相当以下)までの人です。それより高い所得を得ている人いついては、4段階で基礎控除の額が変わってきます。
基礎控除額と給与所得控除額の合計は、年収に応じて次のように変わります。
給与収入200万円超~475万円までの人は153万円、給与収入475万円超~665万円までの人は133万円、給与収入665万円超~850万円以下の人は128万円、850万円超~2,545万円までの人は123万円、となり、以下順次、控除額が減少していきます。
ざっくり言えば、給与収入160万円以下の人は所得税はかからず、(住民税、社会保険料はかかる場合があります)給与収入200万円相当から2,545万円相当までの人は、2万円から3万円の所得税減税となります。
菊池寛は、明治21年、香川県香川郡(現在の高松市)の生まれ。(昭和23年、59歳没)京都大学文学部卒。日本の小説家、劇作家、ジャーナリスト。
また実業家として、文藝春秋社を設立し、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わっている。
菊池は、若いころより秀才の誉れ高く、明治43年、第一高等学校第一部乙類に入学。同期入学に芥川龍之介、久米正雄らがいた。卒業後、芥川龍之介と親交を深め、自殺した芥川の葬儀では弔辞を読んだが、涙が止まらなかったと記している。
主な作品としては、大正7年に「中央公論」に発表した「無名作家の日記」「忠直卿行状記」。大正8年に同じく「中央公論」に発表した「恩讐の彼方に」。大正9年大阪毎日新聞、東京毎日新聞に連載された「真珠夫人」などがある。
「自分は、自叙伝など、少しも書きたくない。自分の半生には書くだけの波乱も事件もないのである。」で始まる、この自叙伝は、菊池の生まれてから、新進気鋭の作家になるまでの半生が書かれている。菊池の出だしの文章に反して、彼の半生は、決して順風満帆ではなかった。その半生が、赤裸々に描かれていて、大変面白い読み物となっている。
菊池には多くの逸話が残されている。菊池は、喫煙者であったが、灰皿を使う習慣がなかったらしく、畳や椅子の肘掛けでもみ消していたらしい。従って、家中焼け焦げだらけだったという。
また、繰り返す浮気に耐えかねて離婚を切り出した正妻に「60歳になったら真面目になる。」と言ったそうだが、実際、本人は59歳で死去している。
令和7年度の税制改正から所得税関連の主要な点を確認しよう。
①所得税の基礎控除額の引き上げ
令和7年分以後の所得税から、所得税の基礎控除(48万円)について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額が10万円引き上げられて58万円になることに伴い、給与所得控除の最低保証額(55万円)が65万円にひきあげられました。この改正により、所得税が非課税となる収入の範囲(いわゆる103万円の壁)が、「103万円」から「123万円」に拡大しました。
なお住民税については、令和8年度分以後の個人住民税においても最低保証額が65万円に引き上げられます。
②大学生年代の子等に係る新たな控除
現行では、大学生年代(19歳以上23歳未満)の子等に係る扶養控除は、子等の合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円以下)に限って、親等に63万円の控除が認められています。
今回の「特定親族特別控除(仮称)」は大学生世代の子等が、合計金額85万円(給与収入150万円)以下であれば親等が63万円の控除が受けられるとするものです。また、子等の給与収入が150万円を超えても、親等は、低減した一定の金額の控除が受けられます。
小宮一慶氏は、経営コンサル歴40年の実績があり、また、数多くのベストセラーを生み出しているコンサルタントである。
この本で、小宮氏は、「経済を読む力」の重要性を説いている。「経済を読む力」は、ビジネスでの実績を上げる上で、また世の中を生き抜いていく上でも必須のスキルだと言う。そこで、「経済を読む力」を身に着ける方法として、「経済指標の読み方」を理解することが、きわめて重要となるわけである。
経済指標は、いわば「経済に関する健康診断」のようなもので、それぞれの指標の定義を知り、読み方を理解することで、経済の仕組みが分かるだけでなく、経済の現状や先行きを分析することができるのである。
経済の動きを読む上で、最も重要な指標は、「国内総生産」(GDP)である。なぜなら、作り出したGDPの50%強が人件費として払い出され、いわば「国民が受け取る給与の源泉」となっているからである。したがってGDPが増えないと給与も増えにくいこということになる。
また他に、大変重要な指標として「米国の雇用統計」がある。この指標は、世界中の投資家、エコノミストが注目する指標で、米国内の企業の動向、企業の雇用慣習まで読み解くことができる。
他にも、様々な経済指標を読み解きながら、その指標の持つ意味を解説してくれる大変参考になる書物でる。
高齢者雇用の問題について、㈱TKCの資料を参考にまとめてみよう。
令和5年、日本の総人口における65歳以上の割合は、過去最高となる29.1%となっています。内閣府の「高齢社会白書」によると、少子高齢化により「生産年齢人口」(15~64歳)は減少し、平成27年から20年間で1,000万人以上減少すると見込まれる一方、65歳以上の人口は600万人以上増加すると推定されています。
また令和6年の厚生労働省の「財政検証」では、現状と同じペースで経済状態が進展し、かつ少子高齢化が進めば約30年後には年金の受給水準が10%減少すると試算されています。
それで、国は少子高齢化対策として平成25年に「改正高年齢者雇用安定法」を施行しました。一定の経過期間が終了し令和7年4月1日からは、全事業者が、原則希望する全従業員に65歳まで雇用を確保することが義務づけられています。違反した場合は、ハローワークからの指導や勧告、またハローワークでの求人の不受理、助成金不支給等の処分が課せられます。
従って事業者は、①定年制を廃止して継続雇用とする②定年を65歳に引き上げ継続雇用とする③希望者全員を65歳まで継続雇用とする制度を導入する、のいずれかにより高齢者雇用に対応する必要があります。早急に高齢者に対する雇用について対策をとる必要があるでしょう。
なお、70歳までの就業確保は引き続き努力義務となっています。詳しくは、厚労省webサイトが参考になるでしょう。
エイブラハム・リンカーンは、アメリカ合衆国第16代大統領である。アメリカでは「奴隷解放の父」とも呼ばれ、大統領を務めた人物の調査によれば、しばしば「最も偉大な大統領」の一人に挙げられている。
1809年2月12日、リンカーンは、ケンタッキー州にある農場の中の丸太小屋のなかで、貧しい両親のもとで誕生している。(1865年4月15日没)両親は、無学な開拓農民である。彼の父が訴訟でなんども苦しむ姿を見たこともあり、その後、独学で弁護士資格を取得している。
その後、1834年、2度目の州議会選挙に当選し、政治家としての歩みを始めている。
リンカーンは、1860年第16代大統領に当選している。また、アメリカ合衆国における奴隷解放、南北戦争における国家の分断の分断を乗り越えた政治家として、そのリーダーシップは高く評価されている。しかし、リンカーンの大統領当選は、南部諸州の反発を招き、1865年4月15日ワシントンで、暗殺されている。
また。リンカーンは、大変な演説の名手で、多くの名演説が記録されている。
この「リンカーン演説集」は多くの演説のなかから代表的な演説を集めたものである。そのかでも1863年11月に行われた「ゲディスバーグの演説」は歴史的名演説としてきわめて評価の高い演説である。
この演説は、「87年前、われわれの父祖たちは、自由の精神に育まれ、すべての人は平等に創られているという信条にささげられた新しい国家を、この大陸に打ち立てました。」で始まり
「ここで身を捧げるべきは……これらの名誉の戦死者の死を無駄に終わらせないように・・そして人民の、人民による、人民のための政治を地上から絶滅させないためであります。」と結んでいる。政治家の語る言葉の重みを感じさせる一冊である。
相続時精算課税制度(以下精算課税制度)とは、原則として60歳以上の父母または祖父母など(特定贈与者)から金銭などの財産の贈与を受けた18際以上の子又は孫などの、本人の選択により行われる贈与制度を言う。(ほかに暦年課税制度がある)
この精算課税制度は、令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後の贈与から基礎控除(110万円)が導入されている。したがって、精算課税制度を選択した場合、年間贈与額から基礎控除額110万円さらに特別控除額(限度額2500万円)を控除した残額に対して、一律20%の税率を乗じて贈与税額を算出する。
精算課税制度を初めて適用する場合に必要な提出書類は、年間贈与額が基礎控除の110万円を超えるかどうかによって決まる。
年間贈与額が基礎控除の110万円以下の場合は、贈与税の申告期限(令和6年分の贈与税は、令和7年3月17日)までに「相続時精算課税制度届出書」に受贈者の戸籍謄本等など一定の書類を添付して提出する。
また年間の贈与税額が110万円超の場合は贈与税の申告期限までに「贈与税申告書」に「相続時精算課税選択届出書」等を添付して提出することになる。
申告期限内の提出が要件なので、提出漏れがないように注意したい。
デール・カーネギーは、1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれる。教師を目指して州立大学に入学するも、卒業後は、中古車のセールスマンなど雑多な職業を転々としている。
副業で始めたYMCAの夜間学校での授業が好評を博し、この副業中、自前で作成した小冊子が契機となり、1936年、48歳の時に出版されたのが、「人を動かす」である。
この本は世界で1500万部以上をセールスしたという大ベストセラーである。
この「道は開ける」は1948年に出版され、前書「人を動かす」とともに、カーネギーの代表作となっている。これまで、日本国内だけでも300万部以上を売り上げている自己啓発系ビジネス書の定番である。
原題は「HOW TO STOP WORRYING AND START LIVING」。この著書では、あらゆる人間に共通する「悩み」の実態とその克服法が述べられyている。膨大な読書量をこなし、また、プロテスタントのキリスト教徒である彼は、聖書の言葉を多数引用している。
たとえば「悩みの習慣を早期に断つ方法」「平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法」「悩みを完全に克服する方法」「批判を気にしない方法」「疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法」などである。
著書のなかで。彼は次の4つの段階を踏めば悩みの9割は追い払うことができるという。①悩んでいる事柄を詳しく書き記す。②それについて自分にできることを書き記す。③どうするかを決断する。④その決断を直ちに実行する。
70年以上も前の書籍であるが、現代でも読み継がれる、ビジネスマンの必読書といえるのではないだろうか。
給与所得者は、通常年末調整で課税関係は終了するので確定申告の必要はありません、ただし、以下の場合には、確定申告が必要になってきます。
①給与収入が2,000万円を超える人。(年末調整の対象ではありません)
②給与所得、退職所得以外に20万円を超える所得(収入金額-必要経費を控除した額)のある人。
③給与を2ケ所以上から受けている人で、年末調整されなかった給与の収入金額とその他の所得金額の合計額が20万円を超える人。
また上記の所得控除項目のうち年末調整では控除できない控除項目があった場合は、確定申告により還付を受けることができます。
1.医療費控除が受けられる人
2.雑損控除を受けられる人
3、ふるさと納税などで一定の寄付金控除を受けられる人
4.その他、年の途中で退職し、再就職しなかったため年末調整を受けなかった人。
などになります。
忘れずに確定申告をしましょう。
新渡戸稲造(1862年~1933年)は、岩手県生まれ、日本の教育者、思想家。札幌農学校在学中に出会ったキリスト教に多大な影響を受ける。
米国に渡り、ジョンズ・ホプキンス大学で学び、ドイツ留学を経て、国際連盟の初代事務次長に就任している。また日本では、5,000円札の肖像にもなった。
本書「武士道」は、1899年、新渡戸が英語で書く上げ刊行された世界的ベストセラーである。
武士道という言葉は、日本人なら誰しも知っている言葉である。しかし、武士道とは何か、と問われると、その答えを明確にできる人は少ないのではないだろうか。
日本人の潜在意識に横たわる、武士道の精神について明らかにしたのが本書である。
新渡戸のよれば、武士道が自覚されたのは12世紀末、源頼朝が天下を統一した頃。それから数百年をかけこの価値観が醸成されたものであるという。
武士道は、「義」「勇」「仁」「礼」「名誉」の5つに価値観により成り立っているという。本書では、その5つの価値観について、詳しく論述している。
人口の1割に過ぎなかった武士の価値観は、大衆の娯楽であった、芝居、寄席、浄瑠璃、小説などの題材となった武士の物語によって、次第に大衆の中に広がっていき、日本人全体の価値観として浸透していったのである。一方で、新渡戸は、この武士道の価値観は、哲学的思考を欠き、名誉を重んじすぎるため、感情に流されやすい欠点をを孕んでいることも指摘する。
日本人に横たわる精神構造を知るうえで、読み継がれる名著であろう。